フラメンコ舞踊の曲を形成する音楽の基本である「コンパス」についてご紹介します。
12の時を刻む時計の針と同じ流れフラメンコ舞踊の曲を形成する音楽の基本は、コンパスと呼ばれる。コンパスはリズムの一単位である。
フラメンコ形式の中で最も基本的なものでは、12拍子を1単位(1コンパス)とし、アクセントをつける場所により、曲の形式が作られる。12拍のコンパスは横に進まず、円として廻る。
12の拍子は人間生活の基盤である時計のようにぐるぐる廻る。時計の針が2回転すると、昼と夜の時が刻まれる。フラメンコにおけるコンパスとは人生と同じ意味を持つ。人間は生まれた時から死に至るまで、コンパスの中で歓びや哀しみを味わう。その時間の長さは自由であり、決められていない。1コンパスのリズムを守ることにより、踊り手、ギタリスト、歌手は永遠のフラメンコを形成することができる。
12拍を1単位(1コンパス)として円の流れのリズムとなる。1コンパスは10拍+ 2拍で表示される。1コンパスの12拍に3拍子と2拍子のアクセントが付けられ、曲の形式が生まれる。アクセントの付いたリズムは{3拍子×2}+{2拍子×2}+{2拍休み}で形成される。
◇フラメンコの代表曲であるソレアやアレグリアスは円で表示されるコンパスのスタートを時計の「1」(図1)とするリズム形式である。
◇曲調がゆっくりのソレアや、リズムの軽快なアレグリアスの舞踊の最後にはブレリアが伴う。速度が速いブレリアは12拍目<2拍休みの最後の拍>をアクセントとして打つリズムとなる
「ソレア、アレグリアス」のアクセント
「ブレリア」のアクセント
◇アクセントが守られたコンパスは無限の流れで曲を構成する。曲の途中の締めや、曲を終わりにする場合(CIERRE)のコンパスは10拍で止める。
「CIERRE」による基本アクセント
◇カンテホンドにおけるシギリージャの本来のコンパスの考え方は、5拍子の強いアクセントを持つリズムである。特色としては、5拍の内、3拍目と4拍目が他の拍よりやや長いリズムとされている。
舞踊をともなう場合は、以下のように1拍・2拍・5拍を2拍子とし、3拍・4拍目を3拍子とし、1コンパスを合計12拍としている。
「シギリージャ」のコンパス
◇円のコンパスは時計の「8」をアクセントとしてスタートする(図2)