シギリージャ
フラメンコ曲種解説

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SIGUIRIYA シギリージャ

フラメンコ曲種解説をご紹介します。

名前の由来と歴史

18世紀末にジプシー達によってシギリージャは現れ、19世紀の初めにはよく歌われ始めた。シギリージャの派生は他のフラメンコ系統と同じに無伴奏の曲種で歌われるトナのスタイルから分れてできた。その後、ギターが加わり独立した形式となった。このシギリージャが現在の姿になるまでには“プラジェーラ”と名付けられた音楽形式に移る過程があった。プラジェーラは葬儀での悲しみを嘆きや悲鳴をあげて故人の家族に付き添う女性達たち“プラニィデーラス<泣き女を主題とした古いトナ>”が進展して変形したものである。ジプシー達の世俗的悲劇の苦悩、嘆きの歌であり、歌い手にとって最も難しい曲のひとつとされている。良く知られている古いシギリージャの歌は19世紀半ばのエル・プラネータのものが有名である。
特色

シギリージャの踊りはまるでカンテに応えるように、とても深みがあり重厚である。一方ギターは控えめで、悲壮で儀式的であり、容易な飾り付けをしないで演奏される。
音楽形式

ラを主音とするナチュラル旋法。5拍の強いアクセントを持ち、3と4拍が他の拍よりやや長い(1.5倍ほど)とされている。歌の場合、気分により拍の長さは伸び縮みされるが、舞踊の場合、1コンパスを12拍として数え 1・2・1・2・1・2・3・1・2・3・1 < 2=休み > と規則的にリズムを刻んでギターと合わせて踊られる。
歌の形式

普通は4行のコプラ(短詩)である。1行目、2行目と4行目は6音節からなり、3行目は5音節と6音節の11音節の詩行である。又、短いシギリージャは3行のコプラとなっており、最初の1行を2回繰り返して長くする。歌の抑揚として普通3行目で最高潮に達して、韻文、音楽的に非常に緩やかなテンポ(ラルゴ)となる。そして、4行目では垂直に落としたように、また短く、抑揚無く、控えめになる。歌詞は深くて悲しいうめきで始まり、感傷的で人間の悲劇を写し出し、恋愛や人生の死をめぐって心の痛みや恐怖なども込めている。
レトラ紹介

Siempre por los rincones
te encuentro llorando,
que yo no tenga libertad en mi *via
si te doy mal pago.
いつも隅っこで
泣いているお前、
俺は一生自由を無くしても当たり前、
もしもお前に悪い仕打ちをしたのなら。
*via = vida